〜Cogito ergo sum〜 00.5.7 サテライト東京VSアントラーズ観戦記
前日の磐田スタジアムでの興奮冷めやらぬまま向かったのは、東京ガスの持ち物である金沢グラウンド。
とても遠い交通の便の悪いところに立地しているので、今まで来たことはなかったのですが
心優しいお連れ様に車で拾っていただいたために無事にたどり着く事ができました。
とは言えぎりぎりに到着したために、ベンチに座ったころには選手はすでにアップを終わろうとしていたところ。
今日からJヴィレッジではU−19の合宿が行われるために、これに選出された羽田君と根本君はお休み。
野沢君、中島君、そして今日出場するのでは?と噂された長谷川さんの姿もありませんでした。
そのためアントのメンバーは今までの4戦程とあまり変化はありません。
GK曽ヶ端、DF内田・金古・柳町(Y)・祥朗、MF木戸(Y)・加藤(Y)・松島・小笠原(Y)、FW阿部(Y)・幸聖
小笠原君が#10。そしてキャプテンマークはいつも通り(?)祥朗君です。
対する東京の布陣はGK堀池、DF小林・古邊・迫井・梅山、MF浅野・喜名・鏑木・松田、FW戸田・榎本。
はっきり言って浅野さんと喜名さんのダブルボランチがサテライトは反則としか言い様がありません。
ユースの子が多いアント側に対して、東京側の体格の良さは観客席で見ていても歴然としていました。
そんな鹿島側で一人体格が違う人が一人。そう、金古聖司です。
背の高さ、足の太さ、胸板の厚さは明らかに他のメンバーを圧倒しています。
すでにトップの試合に何試合も出場している(ACCも含む)金古君ですが、実はサテは初出場。
今まで鹿島にそんな選手っていたでしょうか?と思ってしまいました。
試合は経験、年齢、体格で圧倒する東京のペースで進みます。
紙の上ではシステムは一応4−4−2になっている東京ですが、MFの鏑木さんと松田さんは実際はFW。
前線の2人と合わせて4人でポジションチェンジをおこなっています。
ボランチの位置にいる浅野さんが老獪なベテランらしい落ち着きと、機を見た攻め上がりでゲームをコントロール。
喜名さんが浅野さんのポジションを確認してはスペースを埋めて行くという様子。
開始早々に浅野さんのパスから榎本さんが抜け出してシュートを打ちます。
金古君と内田さんの間を抜けたボールは曽ヶ端君の手の先を抜けますが、かろうじて左ポストに当たり事無きを得ます。
加藤君が得意のドリブルで攻め上がり、中に切れこんで相手を引き付けて右の阿部君へパス。
中の幸聖君に合わせようとしますが、相手のDFに読まれてしまいカットされます。
司令塔もユースの小笠原君ですし、FWもルーキーの幸聖君とユースの阿部君。
皆頑張っているのは良く伝わってきますが、体格差のため当たり負けしてしまっていました。
金古君はと言うと体をうまく入れて、落ち着いたボールカットは何回か見せています。
しかしそこでボールを奪ってから前線に対して効果的にボールをつないでいくという動きがありません。
私がトップの試合で3試合程金古君のプレーを見て気になったのはこの点でした。
2年生の時選手権で得点王を取ったことを持ち出すまでもなく、金古君の魅力はDFでありながら
攻撃に効果的に参加することができ、正確なフィードをすることができるという点を上げる人は多いでしょう。
しかしトップの試合で見る金古君は、ボールを持つと秋田さんやファビアーノを目で探して
簡単にボールを預けてしまうというシーンを何度も目にしていました。
まだ自分のフィードや攻撃参加のタイミングに自信が無いのでしょうか?
観客席で見ている私はそれが歯がゆく、金古君がボールを持つ度に「そのまま前に行け!」と叫んでいました。
−まだまだ取り戻さなくてはいけないものはたくさんある。
それでも彼が彼であるためにはそれを取り戻して、そして前に向かって進まなくては−
この後も左から戸田さんが内田さんを抜いて松田さんにクロスを上げたり、小林さんがグラウンダーのボールを松田さんに出して、
スライディングするような格好でシュートを打ったりと
東京の攻めが続いていきます。
アント側の反撃と言える反撃は一回だけ。
左サイドで梅山さんが上がってきたところを祥朗君が足をうまく出してナイスカット。そのまま前線の阿部君に預けます。
コーナーフラッグ付近で相手DF2人に囲まれながらも阿部君が粘ってFK。
FKのキッカーの祥朗君がファーにいた金古君にうまく合せますが、金古君のヘッドは惜しくもゴール右にそれます。
これを見てやっぱり金古君のヘディングの高さと強さが私は好きなのだなあと実感しました。
この後もゴール前のFKで浅野さんが蹴るかと思わせておいて、
鏑木さんの右足でちょっとインサイドでカーブをかけたFKにゴールを脅かされたり、
右サイドを駆け上がってきた梅山さんからのクロスを戸田さんがヘディングでシュートしたり
榎本さんに遠めからミドルシュートを放たれたりと中盤はことごとくアント側が後手に回ってしまいます。
後半は東京側がメンバーをチェンジしてきます。
榎本さんに替えて加賀見さん。喜名さんに替えて北さんです。
やはり東京ペースで試合は進み、戸田さんに突破されたり松田さんの上げたクロスが直接ゴールしそうになったり。
その度に曽ヶ端君がものすごい勢いでフィールドのメンバーに向かって叫びます。
「こーせーっ!こーせーっ!プレス!プレス!」
「こーせーっ!!もっと前だろおっ!!」
「あべー!しっかり見てろっ!!」
いつものこととは言えあまりの剣幕に「今に火を吹くのでは?」などと茶化す私達(笑)
祥朗君が相手と競り合ってサイドラインを割った時に相手ボールと判定されると、
副審に向かって 「今の見てたっしょ?!」 と両手を広げながら必死にアピールしています。
しかしもっとむっとしていたのは祥朗君で相手に食ってかかります。
それを見た曽ヶ端君。これはまずいと思ったのか
「まあまあ。祥朗。まあまあ、祥朗」
となだめにかかる姿がとてもおかしかったです(笑)
徐々にペースをつかめるようになったのか、少しずつアント側が攻めに転じる場面も出てきました。
15分には加藤君が中央でボールを奪って前の幸聖君へ。これはハンドとなってしまいまい、チャンスがつぶれてしまいます。
2分後には同じくボランチの位置で奮闘していた木戸君が再び前の幸聖君へ。しかしこれも微妙にオフサイドにかかってしまいます。
やはり相手は簡単にはシュートまで持っていかせてくれません。
25分には後半一番のピンチが訪れます。
祥朗君が左サイドでねばった末に加賀見さんに抜かれてしまい、戸田さんにフリーでシュートを打たれます。
これを曽ヶ端君が飛びながらパンチング。弾いたところを星君がシュートしますが、間一髪で逸れました。
この直後にアントラーズ側は疲れの見え始めていた小笠原君に替えて1年生の鈴木君を投入します。
その後も基本的にはアントが攻められっぱなし。
そのために内田さん祥朗君の両サイドの攻めあがりは今日はほとんど見ることができませんでした。
内田さんなんて私が覚えている限りでは2回くらいしか前線まで来たことがないような・・・。
あまり見るべきところがないな。そう思っていた試合終了まであと5分を切った時のことでした。
ハーフラインより10m程アントゴール寄りの位置で東京がファールを犯します。
アントのFKを審判が指示し、フィールド上のプレーヤーが一斉に逆サイドに向かって走り出そうとしたその時。
ボールを指定された位置に置いたと思うや否や、金古君が右足でぽーんと大きく前線に向かって蹴り出しました。
高く蹴り上げられたボールの行方を何とはなしに見ていると、上空で舞っていた風に乗ってぐんぐんと伸びていきます。
東京の選手達も一瞬自陣に帰るのを忘れ、上空をぐんぐん進んでいくボールに気を取られていた様に見えました。
するとそのボールはスピードが落ちることなく一直線に堀池さんが守るゴールに向かって進んでいきます。
あっと思った時には大きくジャンプしながら必死にボールをパンチングして上に弾く堀池さんの姿が!
軌道を修正されてしまったボールがゴールポストの上を超えて行くのを見た瞬間に、ボールを蹴った位置で口惜しがる金古君の姿。
そうです。金古君はあの位置から直接ゴールを狙っていたのです!
しかも見事なまでに綺麗にそのボールは枠を捉えて一直線に向かっていました。
後では同じ様に悔しがる曽ヶ端君の姿も見ることができました。
どうやら元々この作戦は打ち合わせ済みのものだったようですね。
あまりに綺麗な弾道に感動しきってあちこちに「金古65mFK!」などというメールを送りまくる私・・・。
あれが入っていたら。もちろんそう思わずにはいられませんけど、それでもあの弾道を見ることができただけで今日ここに来た甲斐があったのだ。
そう思ってしまうくらい金古君らしい右足からの綺麗なフィードを見せてもらいました。
この直後に北さんが負傷のため、笠木君に交代し、そのまま試合は終了。0−0の引き分けということになりました。
バスのところで待っていると比較的早く金古君が出てきます。
今年のユニを昨日磐田に行ったために持っていた私が、それを持って行き表にサインを入れてもらいます。
その時に 「最後の時のFKは狙ってたんですか?」
と質問してみると
「あ、はい。めちゃくちゃ狙ってました」 とにっこりしながら答えてくださいました。やっぱり狙ってたんですね。
この後もクラブハウスの中で喋る内田さん・戸田さん・迫入さんの大卒トリオを見て、一人悦に入ったりしていました(笑)
出てきた戸田さんに写真をお願いして 「今関カレ中ですけど、戸田さん筑波の応援に行きますか?」
と聞いてみたところ
「あああ!そうですね。いや、暇があったら応援行きますよ!」
とのこと。
戸田さん関カレの存在私に言われるまで忘れてませんでしたか?(笑)
(各地で色んな方が卒業生に関カレネタを振ると、ことごとくその存在を忘れているらしい・・・(笑))
でもこの直後にどうやら京輔さん(現筑波キャプテン)に電話してくれたらしいということが発覚して
やっぱり戸田さんのいい人ぶりが発揮されました♪
バスが出発した後も祥朗君、内田さん、竜太君の3人だけは別行動らしく、タクシーで帰っていきました。
それを見届けて私達も帰宅の途につくことに。
私はひたすらあのFKの弾道を思い出しては、勝手に幸せに浸るという能天気っぷりを発揮していましたが・・・(苦笑)
<Fin>