〜心に花を〜 鹿児島・福岡遠征記1

Act 1.Scene1. <2月25日 鹿児島へ向かう>

私にとっては初めての九州遠征。向かう先はアジアクラブ選手権(以下ACC)が行われる鹿児島です。
高いところが嫌いなので、飛行機は好きではない私ですが羽田空港からわずか1時間ちょっとでの到着には
飛行機の偉大さを感じずにはいられませんでした。前の席に座っていたお子様はとても可愛かったです。

鹿児島空港は山の中にありました。周りには畑が見えます。
バスの切符を買う時に「うわ!千円もかかるよ!」と嘆く私に、さっそく係のおじさんが
「バスなら千円、タクシーなら1万円。ほら安いでしょ?」と軽口を言ってきます。
東京と違ってこういう風に気軽に周りが声をかけてくれる雰囲気が、しょせん田舎育ちの自分にとっては心地よいものです。

あまりの短時間での到着と心が落ち着く風景に、遠くまで来てしまったという感慨があまり浮かびません。
西鹿児島の駅までは高速道路を使っても1時間程かかります。
私たちがとった宿は試合が行われる鴨池陸上競技場から徒歩5分ほどのところ。
試合まで3時間程あるので、駅から路面電車に乗って宿へ荷物を置きに出かけます。
鹿児島市内の路面電車はどこまで乗っても一律160円。とっても良心的な値段で市民の足になっているようです。

騎射場電停(電停=電車の停留所)で下車し、お昼ご飯をモスでゲット。下車した途端に花屋を2件発見して大喜びの私。
なぜ花屋でそんなに喜ぶか?それには今回の遠征の目的と深い関係がありました。

1999年の2月。高校卒業直前にアフリカのブルキナファソで大怪我を追い、手術を余儀なくされた金古聖司。
怪我から約1年後の今日。ACCの初戦の鴨池で金古君がデビューするという公算が大きかったのです。
1年前にはボールを蹴るどころか歩くことさえできなかった金古君が、公式戦でデビューする。
それはどうしてもこの目で見たい。それが今回の遠征へと自分が踏み切った大きな大きな要因でした。

デビューする金古君に何かの形でおめでとうの気持ちを伝えたい。そこで思い付いたのが花束をあげることでした。
しかし試合終了後に花束をあげるためには、いくつかの障害があります。
まずは鹿児島に到着してから、どこか花屋さんを見つけて花束を買わなくてはなりませんし
終了後にあげると言っても、どう考えても普段私が観戦するゴール裏から渡せるとは思えません。
この障害をクリアするために、出発前から私とお連れ様は色々な手段を画策しておりました。

二人とも鹿児島に行くのは初めてですから、もちろん花屋さんの場所なんてまるで解りません。
さっそく宿(この宿もたまたま私が本屋さんで見たホテルガイドに載っていた
鴨池から歩いて5分・1泊4千円という信じられない条件の宿(苦笑))に電話をして、駄目もとで花屋を聞いてみると
「あ、ホテルから歩いて何十歩位のところにありますよ。花束なら買えるでしょう」というお返事。
駅や空港の側での購入を覚悟していた自分にとってはあまりにラッキーな返事!
しかも電停で降りてみたら近距離に2件も花屋があったので、これなら金古君に似合う花を選ぶことができるとご機嫌だったのです。

とりあえず部屋に荷物を置いてご飯を食べたら、観戦の準備をして一目散に花屋へと向かいます。
どんな花束がいいかと悩みに悩んだ私たちが選んだのは、2件目の花屋さんの店頭のディスプレーにあった
白いチューリップ・スイートピー・カスミ草などを基調として、緑をあしらった清楚な感じのものでした。
金古君には原色のものより、白や緑。これが私とお連れ様の一致した意見でしたので。

花束を抱え、金古君のデビューが今日実現されることを祈りながら鴨池競技場へと向かいます。
試合への緊張感とはまた別に、胸の鼓動がおさまることはありませんでした。

Act 1.Scene2. <2月25日 鴨池に到着>

歩いて5分程すると鴨池陸上競技場へ到着しました。正面には大きく桜島が見え、山頂からは煙がもくもくと立ち昇っています。
この火山灰のせいで最後まで目の痛みに苦しめられることになることは、この時にはまるで気づきませんでしたが。

お客さんはあまり見当たりません。平日の夕方ではこれもいたしかたないと言ったところでしょうか?
今日も含めACCを3日間とも見ることにしていた私たちはゴール裏の3日通し券−2,100円と激安!−を購入していました。
しかし先ほど書いたように、今日ばかりはゴール裏で観戦したら花束を渡すことはできません。
というわけで買いました!生まれて初めて自分のお金で!Jリーグの試合のSS席のチケットを!4,000円です!(笑)
これで本当ならもう1泊できてしまうというところが余りに恐ろしい事実であったりもするのですが(苦笑)

予想通りSS席だけでなく、試合会場全体ががらがらで私たちはアントラーズのベンチ裏へと勝手に席を移動してそこを陣取りました。
基本的にぎゃあぎゃあとうるさく試合を見るタイプの私がSS席なんかで見たら
周りにひどい迷惑をかけるのでは?と危惧していたので、この状況は大変にありがたかったです(苦笑)

入場の際に配られていた2000年度のグッズカタログには新しいグッズがたくさん。
本山君のMMグッズはいけてるんでしょうか??かなり賛否両論ありそうです。

同時に配られていた抽選券は、全部で8名に今日の公式使用球が当たるというもの。
本当に金古君がデビューしたらそのボールお金を出してでも欲しいと思ったのは私たちだけでしょうね(苦笑)

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