〜心に花を〜 鹿児島・福岡遠征記3

Act 1.Scene4. <2月25日 試合後・ ACCジュビロVSシンタナ>

試合が終了し、いつも通りにイレブンはゴール裏の観客のところに行って挨拶をしています。
「鹿島アントラーズ」のコールの後に今日の得点者である小笠原コール。
その後に「かねこ!かねこ!」というコールが起こったことが本当に嬉しかったです。
早くアントラーズの金古聖司として皆に認知され、愛されて欲しい。私はそう願って止まないのです。

鴨池は陸上競技上。したがって観客席とピッチの間は陸上トラックが遮っています。
選手はその陸上トラックの上を歩いていつも通りロッカールームの方へ引き上げようと歩いています。
いつも通りの光景のはずなのに私の心臓はばくばくと音を立てて今にも死にそうな状況でした。
だんだんと選手が私たちの方へ近づいてきます。

とりあえず花束をお連れ様が握り締め、私はカメラを持ちSS席の最前列へと急ぎます。
選手達はベンチの真裏までやってきたのですが、そこは席からは遠くこのままではとても花束なんて渡せません。
「金古さーん!!金古さーん!!」
どうにかこの状況を伝えようと必死になって大声でお連れ様と2人で金古君を呼びます。
この呼びかけに気づいてくれた金古君が私たちの前を通った時にぺこりと頭を下げてくれました。

しかし金古君の歩みは止まることはありません。このままでは行ってしまう!
頭が完全にパニックに陥り、どうしていいか解らなかった私ですがこの時とっさに声が出ました。
「すいませーん!!金古さーん!!この花束貰ってくださいー!!」
自分の地声が大きいことにこの時ほど感謝を捧げたことはありません・・・。
この声に金古君がびっくりして足を止め、私たちの方までわざわざ歩いて来てくださいました。

最前列にいるとはいえ、金古君がいるグラウンドまでは高さも相当あり、金古君は私達を見上げるシチュエーションです。
「復帰おめでとうございます!」そうお連れ様が金古君に向かって告げ、
精いっぱい腕を伸ばして金古君に渡そうとしましたが、とてもこの高さでは無理で最後はふわっと花束を落としました。
「ありがとうございます。」そう言って受け取ってくれた金古君。
「すいません。写真を撮らせて頂けますか?」そう聞く私に、「はい」と言って花束を胸に抱えて上を見上げてくれました。
緊張で手がぶるぶる震え、まともに写るか怪しいと感じたこの写真が
東京へ帰った後にちゃんと撮れていたと知った時の安堵感はものすごいものでした。

「お疲れ様でした」去って行く金古君の後ろ姿に声をかけながら、一気に体から力が抜けて行きました。
金古君に花束渡します。出発前に何人かの方にこう宣言して、実際に席も取り花束も買い。
ここまでしてスタメンじゃなかったら?結局渡せなかったら?
そんな言葉が何度も繰り返し頭に浮かんで、その度に頭からそのことを振り払い
「花束を渡したいんじゃなくて、復帰を祝いたい。その気持ちが大事なんだから」と自分に言い聞かせていました。
それでも実際に渡すことができたという喜びと安堵の気持ちが体中にあふれ、しばらく体の震えが止まりませんでした。
ファンの自己満足なんてそんなものですよね。

次のジュビロの試合まで1時間。とりあえず席に戻り、落ち着きを取り戻そうとしました。
なかなか収まらない興奮に自分でも呆れることしばし。
それでもどうにか我を取り戻し、競技場の中の通路からバスに乗り込む選手を見ることにしました。

リザーブだった選手から順にバスへと乗り込んで行く様子がはっきりと見えます。
私はあんまりバスの出待ちとか普段はすることがないので良く解りませんが、
バスの周りを取り囲むファンの人の数もそう多いものではありません。
(もちろん入場者数があれでは押して計るべしですけど・・・)

本日途中交代だった増田さんと、最後の5分の段階で下のズボンを脱ぎユニフォーム姿になってアピールするも
結局出場機会のなかった浩二君はここから見てもはっきりとご機嫌斜めなのが解ります。
通路を挟んで隣に座っているのですが、二人とも座席を二人分使ってどっかりと座り込んでいます。
浩二君に至っては前に座っている中村祥朗君の座席をどっかどっかと蹴っ飛ばし、その後は黙り込んで上を向いています。

ルーキーの3人は落ち着きなく外を見てはきょろきょろ、きょろきょろ。
そして徐々に記者の方達に囲まれた選手達がバスに向かって出てきます。

その時でした。2〜3人の記者に囲まれながら金古君が出てきました。手にはあの花束を持っています。
ちゃんとホテルまで持って帰ってくれるんだ。そう思ったら嬉しくてまた涙が出てきそうになりました。
バスに花束を持って乗り込んでいった金古君の後ろ姿を、私は一生忘れることができないでしょう。

最後に監督がバスに乗り込み、ホテルへ向かって選手は帰って行きました。
これを見届けて席に戻るとピッチではジュビロとシンタナが練習をしています。

2試合目のジュビロ対シンタナの試合は7時にキックオフ。
シンタナは2年前のACWCで本山君が公式戦(サテライトを除く)初ゴールを決めた相手です。

ジュビロがほぼボールを支配してパスを回すものの、決定的なチャンスにはあまり至らず前半は結局0ー0のまま折り返します。
後半中山さんがゴール前で転倒し、少しの間プレーを続行していたのですが耐え切れずに足を引きずったまま途中交代。
替わりに入ったラドチェンコがファーストタッチとロスタイムに1点ずつを入れて、ジュビロが2ー0で勝利しました。

鈴木秀人さんのレッドによる一発退場と、中山さんの怪我とジュビロにとってはあまりついていない試合。
1日置いた後に対戦するアントラーズは、この運を生かすことができるのでしょうか??

Act 2.Scene1. <2月26日 練習見学と天文館周辺>

初日にあまりに色々なことをいっぺんにやりすぎてしまい、すっかり疲れ果てていたはずなのですが
「せっかくだから練習も見たい」そんな駄々を私がこねて、どうにかしてその情報を集めることになりました。

知り合いにお願いしてアントのオフィシャルを見ていただいてもそんな情報は載っておらず、
前日の帰り際に係の方に聞いても「非公開なので教えられません」との回答だけ。
普通の人なら諦めるのかもしれませんが、そこは私の訳の解らない行動力が物を言いました。
(というかこの後そんなことばっかりなんですけど・・・)

朝8時に目覚しをセットし104番の電話番号案内ににコールして「すいません。鴨池の陸上競技上の電話番号を」
ここでゲットした番号に電話し「すいません、本日の鹿島アントラーズの練習は何時からですか?」と尋ねると
「えっと、午前中のはずがさっき変更になりまして2時半からになります。」
何事もやってみるものだという私の人生哲学をここで自信から確信に変えました(笑)

とりあえず午前中はくったりと寝て2時半少し過ぎに鴨池に歩いて向かいます。
非公開ということで殆ど期待していなかったにもかかわらず、ゲートは大きく開いており、恐る恐る中に入ってみると
そこではアントラーズのジャージを着た皆様が練習をなさっている風景が広がりました。

しかし試合の次の日ということもあって、レギュラー組は軽いアップをしただけの模様ですぐに引っ込んでしまいます。
残った8人は2つのグループに別れてミニゲームを行っています。
ビブス組が熊谷さん・浩二君・松島君・内田さん。ノンビブス組は平瀬君・祥朗君・野沢君・羽田君です。

軽いゲームなのですが、監督が熱心に見ていることもあって選手は真剣そのもの。
途中でゲームを止めては監督が体の入れ方や、ボールの追い込み方などを指導しています。

しかしこれも15分程度で終わってしまい、クールダウンを始めました。
一人ピッチの真ん中でストレッチをしていた野沢君が監督と通訳を介してではありますが、
身振り手振りを交えて色々と話をして、指導を受けていたことが印象的でした。

とりあえず選手もいなくなってしまったことですし、外に行きバスの前で出てくるのを待ちます。
少したつと野沢君が出て来たので、1月のU−19合宿の時にサンフの森崎君と撮らせていただいた2ショットを出し
サインをお願いしますと言うと「ああ、これ懐かしいですねぇ」と笑っていました。
続いて写真をお願いすると、私たちの隣にいた方達に「おおっ!野沢君有名人だね!」とひやかされて
「いやあ、僕一般ピープルですからぁ」と笑っていました。
そんなことないですよ。アントラーズの期待の星なんですからねっ!

はっと気がつくと普通の出口の方からも選手が出て来ており、すたすたとそこを歩いています。
出待ちしている人なんて10人いるかな?くらいで、鹿島だったらありえないこんな状況に戸惑う私たち。
内田さん!眼鏡でジャージにサンダルでそこらへんすたすたと歩いてたら誰にもJリーガーだって思ってもらえないですよ!(笑)
羽田君も狙っていた人はたくさんいたはずなのに、余りにも当たり前に歩いているためフリーパス。
浩二君までフリーで歩いていたのには、こっちが驚愕してしまいましたよ。何とか追いついてサインだけ頂きましたが。

バスの周りも昨日と違って警備員がいる訳でもなく、窓から平瀬君にサインを貰っている方もいました。
それを見て私たちも羽田君のところへ行き、窓ガラスの向こうに向かって呼びます。
すると窓を開けてくれて、新人研修で撮ったスーツ姿の写真にサインを貰うことができました。
お連れ様が写真もいいですか?と聞くと、窓から顔を出してくれたのですが、
いかんせん観光バスなので座席までが遠く写真がうまく撮れそうにありません。

そこで「セルフで撮ってもらえますか?」とカメラを手渡すと「え?!自分で撮るってことですか??」とびっくり顔。
高校選手権の人気者ですし、そんなの慣れてると思ったら違うんですかね?すみませんでした!
バスの中でカメラを持って自分をパシャっと取ると、バスの中にフラッシュの光が走ります。
それにびっくりした野沢君と内田さんが大爆笑。「お前何やってんだよぉ!!」と大騒ぎです。
撮った羽田君もシャッターを押した瞬間、自分自身に思わず「ぐふふふふ」と笑っている姿が可愛かったです♪

最後にバスに向かって歩いて来たジーコさんはやはりここでも一番人気!
次々にファンの人達が近寄ってきては写真を一緒に撮っており、ジーコさんも肩を組んだりしてファンサービスに応じます。
そんなジーコさんの人気ぶりを目を丸くして、見つめ3人でひそひそと話す相変わらず可愛いルーキー3人組!
いつかはこんな大選手になってくれたら素敵ですよ!

とりあえずどうしても見たい掲示板があったので、それを見るために天文館という鹿児島の中心街に電車で向かいました。
宿の側のコンビニであらかじめ調べてあったネットカフェを探します。
1人1時間300円という値段も破格だったのですが、色々とネットサーフィンしている間に私たちの滞在は2時間を超えてしまい
出る時に追加の料金を払おうとしたところ「いや、別にいらないですよ。それよりまた利用してくださいね」とにっこりされてしまいました。
どうしていいか解らなくなっていしまった私がとった行動は、そこに売っていたインスタントカメラを購入することだったのですけど・・・。
本当にありがとうございました。鹿児島の人は本当にいい人達ばかりです!

出発前から多数の人にお薦めしていただいていたラーメン「こむらさき」を
ネットカフェを探している間にたまたま発見。この後に立ち寄ってみました。
値段は900円と少々高め。炒め野菜がたっぷり上に乗っており、とんこつなんですけどさっぱりした味でおいしかったです。
これだけのことで「もう鹿児島の観光スポットは抑えた」などと満足する駄目な私たち・・・。

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