〜心に花を〜 鹿児島・福岡遠征記6

Act 5.Scene2. <2月29日 ACCアントラーズVSシンタナ>

ジュビロが勝ってくれたためにこの試合に対するモチベーションは最高なはず。
5点差をつけて勝つのは普通のサッカーの試合なら厳しいですが、
昨年度のACWCでは同じシンタナ相手に平瀬君・本山君などの活躍もあって9ー0で勝っています。
チャンスがまるで無いわけではないのです。とにかく攻めて勝ってください!

スタメンが発表された時、ほぼ日曜と変わらないスタメンの中で1つだけ変化がありました。
金古君の名前がそこには無かったのです。DF登録で出場しているのは名良橋さん・相馬さん・秋田さんの3人だけ。
たぶん浩二君をDFラインに入れて、攻撃的なシステムで望むという監督の姿勢の表れなのでしょう。
アントファンの自分としてはその布陣は良く理解することができます。最低でも4点取らなくてはいけないのですから。

でも金古君のファンとしての自分が「この3試合が勝負だ」と思っていただけに、
その貴重な1試合が無くなってしまったことへのショックはやはり隠せませんでした・・・。

試合はほぼアントラーズがボールを支配したまま進みます。
柳沢君・平瀬君のFW二人を始め、増田さん・小笠原君が前線まで飛び込みます。
浩二君もCBの位置にいるのですが、隙があればすぐに中盤に顔を出してパスのコースを消し
見方にボールをフィードするというボランチの様な役目も果たしていました。

前半13分。待望の先制点が良い時間帯に生まれました。
左CKからボールが秋田さんのヘッドにあわさり、ポストに当たります。
その跳ね返ってきたボールはスピードがあったのですが、上手く平瀬君が足で合わせました。
このペースで行けば!そう思わせる時間帯です。

しかしすぐには後が続きません。柳沢君はひたすらシュートを試みるのですが、なかなか枠に飛びません。
20分、増田さんが左でドリブルしながら持ち込み後の相馬さんにノールックで預けます。
今日は攻撃参加のタイミングが絶妙の相馬さんがクロスを中の小笠原君に向かってあげます。
これがぴったりと小笠原君の足元に行き、前線の柳沢君に向かってセンタリング。
GKとほぼ1対1になる素晴らしいボールでしたが、柳沢君のヘッドはGKに阻まれてしまいます。
そうなんです。シュートが枠にとんだと思ったらGKのナイスセーブが飛び出すのです・・・。

「ミツオ!ミツオ!打ってもいいぞ!!」「ミツオ!もっと上がれ!もっと上がってけ!!」
普段はパスをさばくことが役割としては多い小笠原君ですが、今日の状況ではそういう訳にはいきません。
ゴール前の絶好機でパスを出してしまった彼に対して、執拗に周りからそういう声が飛んでいます。

26分には中盤のビスマルクから前の柳沢君にふわりとパスが。
柳沢君は完全にフリーだったのですが、これを左のポストに当ててしまいます。
しかもこの跳ね返ってきたボールも詰めていた柳沢君自身の前に落ちてきたのですが、これも決まりません。

9割方ボールをアントが支配しているのですから、試合はゴール裏にいる私たちのほぼ目の前でひたすら行われています。
しかしチャンスの多さに反比例するかのようなゴールの決まらなさに、だんだん嫌なムードが漂い出しました。

試合開始30分ほどすると、私たちの側に水原のサポーターがやってきました。
この試合に準決勝進出がかかっているのは向こうとて同じ事。気になって見に来たのでしょう。
そう思っていたらなんと水原の選手までゴール裏にやってきて試合を観戦しています。
選手なんですからメインスタンドで見ることができるでしょうに(苦笑)
アントラーズの選手のシュートが外れる度に大歓声が巻き起こります。

そう思っていると左CKから浩二君が頭で押し込んで2点目!
後3点!今日ばかりは形はどうでもいいから点数を取ることが特に大事です。

この後も今日絶好調の両サイドの二人から再三再四いいクロスが上がるのですが、決めることはできません。
ちなみに相馬さんは攻撃参加のタイミングとクロスは絶好調だったのですが、シュートはいつもの相馬さん。
豪快に宇宙開発を何本か決めてくださいました(笑)

40分に柳沢君が左サイドで持ち込んでチャンスを作り、後のビスマルクへパス。
そこから前の平瀬君にクロスがあがってシュート!
決まったと思ったシュートがゴールポストとクロスバーの角に当たった−日曜にもそんなシーンを見ましたよ−
という事実を受け入れるのに、私が相当の時間を要したということは言うまでもありません。
ゴールに入れるよりもそこに当てる方が難しいと思うんですけど・・。よりによって2回もやらなくても・・・。

後半もこのままだとアントラーズのボール支配率が9割近いだろう。
鴨池は陸上競技上な上に、ゴール裏は芝生席になっており反対側のゴールは果てしなく遠くにあります。
後半何が起こっているのが見届けようと考えた私たちは席を移動することを決意。
殆ど誰もいない反対側のゴール裏で鹿島のレプリカを着て応援する二人・・・。

後半開始早々に左の相馬さんからスーパーナイスクロスが入り、柳沢君がGKと1対1になります。
しかしこれをゴール左に外してしまい、いきなり嫌なムードの幕開けとなりました。

この後も中盤では完全にボールを支配するも、ゴールを割ることができません。
15分には本田さんに替えて熊谷さんを投入して、完全に攻撃に人手をさいていきます。
守備は殆ど秋田さん一人でどうにかなるといった感じでしたから。
しかし直後の柳沢君のヘッドもビスマルクのシュートもGKに阻まれてしまいます。

24分には疲れが見えてきた平瀬君に替えて本山君を投入します。
今日の本山君は贔屓目を除いてもかなり良く走り、ボールに対する執着心を見せていました。
それまでの2日間の動きは私から見ても物足りないものでしたが、今日の本山君は違います。
相手が持ったボールに対して走り回ってプレスをかけ、積極的に味方に対して指示を飛ばしていました。

32分に本山君、小笠原君、ビスマルクと3人連続でシュートを打ちますが、
今日何か神様が乗り移っているとしか思えないシンタナのGKはことごとくシュートをその手で弾いていきます。

36分の相馬さんの切り返しからのシュートもバーの遥か上に飛んで行き、
右の熊谷さんからクロスが上がり、GKと1対1となった本山君のヘディングもふかしてしまいます。

私たちの絶叫が鴨池の空に響き渡り、選手たちも頭を抱えるシーンが多くなってきた後半42分。
左を上がってきた相馬さんからクロスが上がり、難しい角度でしたが本山君が頭でゴール!
本山君がすぐさまゴールネットからボールを取り出して、にこりともしないままセンターサークルに向かって走り出します。
最低でも後1点!そのことは選手もサポーターも全員が解っていることなのです。

ここで小笠原君に替えてルーキーの期待の星である野沢君が投入されます。
最初電光掲示板の表示が「小笠原→金古」となっていたために
「うわっ!秋田さんもすでにFWの位置でボールをさばいてることだし、金古君も投入して超パワープレーなのか!?」と
大焦りしましたがさすがそうではなかったようですね。
しかしこういったパワープレーな状況だったために、野沢君は持ち味を出せないまま。

サイドラインで相手の選手と激しい攻防を繰り広げていた本山君。
相手の足に当たってサイドラインを割ったのに相手がスローインをしようとすると、
そのまま突っかかっていき相手の手を振りほどいてボールを奪いすぐさまスローイン。
−久しぶりに狼の目をした本山君を見ましたよ−

ロスタイムが表示され残り時間も後わずか。
ピッチの上からは秋田さんの吠える声が聞こえてきます。全員で相手陣内に入り総攻撃です。
しかしそのまま試合は終了。負けたにもかかわらず大きなガッツポーズを繰り広げていたのはシンタナの選手達でした。
私たちの目の前では呆然としたまま立ち尽くす浩二君。がっくりうなだれた相馬さん。
そして崩れ落ち、ひざまずいたまま動くことのできない柳沢君の姿があったのです。

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